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気象観測拠点でエネルギー浪費、改革へ

  • 投稿者:
  • NISORO事務局
  • 2010年12月30日

後退する北極の海氷追跡などで活躍するアメリカ国立雪氷データセンター(NSIDC)の強力なコンピューター。だが、皮肉なことに、“エネルギー浪費”という難問を抱えていた。NSIDCのデータサーバーは地球温暖化の影響を示す衛星画像の情報処理に活躍する一方で、大量の化石燃料を消費しているのだ。


気象観測拠点でエネルギー浪費、改革へ

主にアメリカ政府機関の補助金で運営されているNSIDCの施設は、コロラド大学ボルダー校の敷地内にある。世界の寒冷地域の気候データを処理するには100キロワット毎時の火力電力が必要だ。最新データによると、アメリカの一般家庭80軒分の消費量に相当するが、その半分ほどはデータ処理ではなく、設備の冷却だけに使用されているという。

 NSIDCで技術サービスマネージャーを務めるデイビッド・ギャラハー氏は、「気候研究を行うデータセンターが膨大な電力を消費している。機材の背面から絶えず37度の熱が放出されるため、真冬でも空調をフル稼動させる」と話す。

 現在、アメリカ国立科学財団(NSF)の資金提供で予算60万ドル(約4900万円)の改修工事が進行中だ。最新型サーバーへリプレースし、革新的な蒸発冷却技術の導入を進めて、アメリカで最もエネルギー効率の良いデータセンターの実現を目指す。

 1982年にコロラド大学環境科学共同研究所の一部門として設立されて以来、NSIDCの仕事は飛躍的に発展した。当初はアナログな情報センターだったが、現在はNASAの衛星による地球観測システム(EOS)の遠隔探査データを管理する。91テラバイトを超える膨大な地球科学データを保管し、世界中の研究者に提供している。

 NSIDCの運営費はすべて助成金などで賄われており、NASAが最大の割合を占めるほか、NSFや商務省機関の米国海洋大気庁(NOAA)も拠出している。最近の研究としては、南極西部の海氷消失の原因究明や、北極の海氷の範囲を示す衛星データの地図作成などが挙げられる。今年9月の北極の氷は、過去最悪であった2007年、2番目の2008年に続く3番目の縮小度合いだと判明した。

 だがこのような成果には、データを管理する強力なコンピューターとサーバーが欠かせない。世界最大級のデータセンターに比べれば、NSIDCの設備は規模としては小さい。アメリカのIT企業Switch Communicationsがラスベガスに所有する「SuperNAP」はサーバー数7000台だが、NSIDCは2部屋の70台に過ぎない。それでも、よりエネルギー効率の良い技術を活用して、大幅に合理化できる見通しだ。

 まず、従来と同程度の消費電力でより多くのデータを格納できる高密度記録ディスクに交換し、2部屋のデータセンターを1部屋に統合した。さらに「仮想化」技術の採用で台数も60%削減。プロセッサーの平均使用率が低い複数の専用サーバーを効率の良い1台のホストサーバーにリプレースしたのだ。

 このほか、屋上には25キロワットの太陽電池パネルを設置し、火力電力の一部を肩代わりさせる。だが、最大の目玉は、立地環境を活かして従来の空調設備のニーズを削減するというアイデアだ。「何と言っても、ここは冬の寒さで有名なボルダーだ」とギャラハー氏。フィルターでろ過した外気を室内に取り入れて、設備の冷却に利用するという。暖かい日のために、間接的な蒸発冷却による新システムも設置された。コンプレッサーを使わず、水中で空気を吹き出して水が蒸発する際の温度変化を利用する技術だ。

「90%の時間帯で、冷却システム全体の消費電力は車のエアコンと同程度に抑えられている」とギャラハー氏は誇らしげに話す。

 削減効果により、新冷却システムの導入費用は3年ほどで元が取れるという。NSIDCの毎年の運営費も45%削減される見込みだ。

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