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北極圏で“ミイラ化した森”を発見

  • 投稿者:
  • NISORO事務局
  • 2010年12月20日

カナダ北極圏の奥地で数百万年前の古代の森林が“ミイラ化”した状態で発見された。保存状態が良く、幹のほか葉や種の鞘(さや)もそろっているという。同地域は極寒の乾燥地帯で現在は氷河で覆われており、盆栽程度のわずかな小木以外は樹木はほとんど生えていない。

北極圏で“ミイラ化した森”を発見

調査チームの発見は、クッティニルパーク(Quttinirpaaq)国立公園のレンジャーから聞いた驚くべき話がきっかけだった。世界最北の陸塊の一つであるエルズミーア島の5分の1は同公園で保護されている。

 レンジャーたちは長さ数フィートもある丸太など、普段は見かけない大きい樹木の幹が地面に散乱している場所に出くわした。研究チームを率いるオハイオ州立大学の環境科学者ジョエル・バーカー氏は、「この地域を歩くと、あちこちで見つかる。歩くのに苦労するほどだ」と話す。パークレンジャーには見当がつかなかったが、バーカー氏は数百万年前の樹木ではないかと推測した。

 幹が散乱している場所の地層を調べたところ、川によって侵食された傾斜地であることがわかり、さらに掘ってみると、葉や種の鞘が付いた多数の丸太が見つかった。「何百万年も前の樹の葉を地中から取り出して手にしたときは、現実離れした感覚だった」とバーカー氏は話す。

 ミイラ化した樹木が長期間保存されていたのは、地滑りで一瞬にして埋まり、分解を加速する空気や水から遮断されたためだと考えられる。

 研究チームは幹、葉、種子の鞘の特徴を調べて、マツ、カバ、トウヒなどの樹種を特定した。数百キロ南にある森林と似ているため、北極圏が今より温暖だった時代にこの地域は森林だったと考えられる。研究チームは樹種に基づいて、森林の存在時期を1000万~2000万年前と推定した。

 また、樹種の数が少ないことから、古代の森林は極限の環境で生息する生態系だったと推測される。例えば、カナダの南下した地域でもミイラ化した森は発見されているが、樹の種類はここよりも多様だった。

 幹の年輪を数えて、土に埋まった時の樹齢は少なくとも75年と特定された。年輪のサイズがかなり小さいため、成長は極めてゆっくりだったと見られる。「非常に厳しい環境で、樹木がなんとか生息できるぎりぎりの気温だった」とバーカー氏は話す。

 同地域の古代の樹木を独自に研究してきたミネソタ大学の植物病理学者ロバート・ブランシェット氏は、「驚くべき発見だ。何百万年も前の樹が、まるで昨日までそこに育っていたかのように良い状態で見つかるなんて滅多にない」と話す。

 今回の研究を進めれば、地球の気候が大きく変動していた時期の様子を解明できる可能性があるという。「気候変動の速度や変化に対する植物の反応を調べたい」とバーカー氏は期待している。

 バーカー氏のチームでは、約500万年前に地球環境が寒冷化し、“温室”から“冷凍庫”へ変化した時期に、地域の森林がどのように反応したのか解明したいと考えている。「当時は広大な氷床や多数の氷河で覆われる“冷凍庫”の時代だった。その後、数万年周期で寒暖を繰り返し、最後の氷期は約1万年前に終った。今は温暖化傾向にあり、氷がどんどん減って“温室”環境へ移行している」。

 今回の発見は、アメリカのサンフランシスコで12月13~17日に開催されたアメリカ地球物理学連合の年次会合で発表された。

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