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新技術によるグリーンなセメント登場

  • 投稿者:
  • NISORO事務局
  • 2010年12月14日

世界の二酸化炭素排出の約5%は、セメント産業に由来している。

現在広く利用されている「ポルトランドセメント」は、産業革命時代のイギリス、ポートランド島で採掘されていた建築用石材に似ていたことから名が付けられた。コンクリートを固めレンガを結び付ける接着剤であり、橋やビルなど現代の文明に欠かせないさまざまな建築物に利用される。セメントがなければ、世界の建築産業は文字通り「崩れ落ちる」ことになる。


新技術によるグリーンなセメント登場


セメントは製造過程の2工程で大量の二酸化炭素が発生する。第1に、ポルトランドセメントを作る場合、石灰岩などから取れる炭酸カルシウムからエーライト(アリット)と呼ぶセメント素材を生成する際に、セメントキルン(回転式の窯)の中で摂氏1400度以上に熱して原料を分解する必要がある。大量のエネルギーが必要な加熱工程では通常、化石燃料の中で単位あたりの二酸化炭素排出量が最も大きい石炭が使われる。

 第2に、セメントキルンで炭酸カルシウムが酸化カルシウムに化学変化する段階でも、大量の二酸化炭素が副産物として発生する。合計して、1トンのセメント製造に770キロの二酸化炭素が大気中に排出される。世界のセメント生産量は年間30億トンに達し、地球温暖化問題において無視できない問題となっている。

 セメント産業では二酸化炭素の回収や設備・運用の効率化を進める動きがみられるが、抜本的な解決には至っていない。革新的な温室効果ガス削減を実現するには、セメント製造に必要な熱エネルギー、そして副産物の二酸化炭素をともに劇的に削減する必要がある。このような状況下で、ドイツにあるカールスルーエ技術研究所(KIT)の化学者ペーター・シュテンマーマン氏は、「私たちの研究所では、両方の課題を克服する新技術の開発に成功した」と自身の成果を語った。

 シュテンマーマン氏が述べた新技術は一種の代用セメントで、「セライトメント(Celitement)」と名付けられている。必要な加熱レベルは通常のセメントに比べおよそ5分の1の摂氏300度で、大幅な省エネルギーが可能だ。また原料に、カルシウム含有量の少ない混合物プラス通常とは異なるケイ素成分を利用し、工程の早い段階で水を追加している。化学反応式が変わり、副産物の二酸化炭素量も大幅に削減できる。「セライトメントは現在の標準的な建設機械で利用可能だ。業界で広く採用されるにはこの点が最も重要だろう」とシュテンマーマン氏は話す。

 利点ばかりのようなセライトメントだが、1つだけ大きな問題を抱えている。コストだ。シュテンマーマン氏も、「必要な熱エネルギーは少なくて済むが、設備投資にどうしてもコストがかかる」とこの点を認める。

 そこでシュテンマーマン氏の研究チームは、セライトメントの優れた腐食耐性を生かし、まず特定用途向けに普及を進めようとしている。例えば汚水処理施設では、有害な化学物質が蓄積するため通常のコンクリート用セメントでは腐食が進み、何度も補修が必要となる。「セライトメントを使えば耐久性が向上するので、初期投資額が増えても、長期的には安く済むことになる」とシュテンマーマン氏は話す。

 現状は、KIT内にあるシュテンマーマン氏の研究施設で一度に1キログラム程度の実験室段階に留まっている。しかし、賛同する投資家の協力の下、2011年には小型のパイロットプラントが稼働する予定で、また、ドイツのセメント企業シュベンク(Schwenk)との協業により、年間6万6000トンの製造が可能な工場が2014年までに建設されるという。セライトメント製造が軌道に乗れば、建設産業の温室効果ガス排出は劇的に減少するかもしれない。

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