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下水をリサイクルして飲み水に

  • 投稿者:
  • NISORO事務局
  • 2010年11月15日

世界中で干ばつが長引き、水源を奪いあっている現状から、下水をリサイクルして飲み水や肥料に利用する動きが増えていることが、スリランカに本拠を置く国際水管理研究所(IWMI)の報告により明らかになった。開発途上国では、既に2億人が人間の排泄物を農業に利用している。


下水をリサイクルして飲み水に


いまや先進国でも廃水の利用は盛んに行われているが、富裕国では、下水を浄化処理しその水を水道の蛇口まで送っているところもある。カリフォルニア州南部にあるオレンジ郡の下水処理システムは革新的なことで知られている。トイレに流した水を収集し、成分を分離後、廃水を飲用水の基準にまで浄化する。同郡の水道局は、浄化した廃水を地下の帯水層に送り込む。そこで貯水された水は、灌漑用水や水道水として利用される。

 アメリカの連邦政府や州の法律では、再生水を川や帯水層に一度貯めてからでないと飲用水として利用できないことを定めている。そのため、オレンジ郡の水処理施設から直接、水道水として住民のもとへ送ることができないのだという。最大規模のこの地下水涵養システムでは、1日に26万5千立方メートル(約50万人分)の浄化水を供給している。

 オレンジ郡もまたほかの地域と同じように干ばつが長引き、新鮮な水を求めて戦っている。国連認定の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると、地球上で14億人が既に水不足に直面しているという。

 オレンジ郡水道局の地下水涵養システムのプログラムマネージャー、シワージ・デシュムク氏は、「再生水を飲用水の水準まで浄化するにはまだかなりのコストがかかるため、このような大規模な処理場を開発途上国に設置するのはすぐには無理だろう。エネルギーコストが上昇する一方なので、下水のリサイクルコストも無視するわけにはいかない。しかしカリフォルニア州の別の場所から水を引っ張ってくるよりも、リサイクルする方がまだ安上がりなんだ」と語った。オレンジ郡では、水の輸送に必要なエネルギーの半分で同じ量の水をリサイクルすることができる。

 スウェーデン水協会(SWWA)の環境廃水問題の担当責任者であるアンダルス・フィンソン氏は、「廃水のリサイクルには、栄養に富んだ排泄物を肥料に変えられるというメリットがある」と言う。化学肥料は昨年から一部で50%近く高騰しているため、人間の排泄物は魅力的な代替品となってきている。処理済みの下水汚泥には、窒素やリン、カリウムという土壌を豊かにし植物を育てる元素が含まれているからだ。

 高度な技術で処理された人間の排泄物(バイオソリッドと呼ばれることが多い)は、先進国のさまざまな場面で利用されており、病原体や重金属などについて厳しい規制基準が設けられている。例えば、水のリサイクルを専門とするアメリカのブラック・アンド・ヴィーチ社のジェームズ・クラーク氏は、「バイオソリッドは稲作や穀物の農作物に肥料として利用されることがほとんどだが、なかには植林作業やゴルフコースなどにも応用されている」と言う。

 しかしこの試みはまだそれほど普及していない。理由の1つとして健康への影響や、近隣農場からの臭気を人々が懸念していることが挙げられる。このような乗り越えなくてはならない壁もあるが、ヨーロッパの何カ国かでは世界的なリン資源不足をふまえて下水汚泥の利用を奨励し始めている。リンは植物の成長に欠かすことのできない元素だが、化学肥料の原料となるリン鉱石は200年も経たないうちに地球上から枯渇するだろうと専門家らはみている。

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