最新の研究によると、世界中で地表の風速が下がっているという。原因は意外にも、ビルの建設ラッシュではなく樹木の増加と見られている。

研究では、800以上の気象観測所から集めたほぼ30年分の風速データが分析された。主に信頼性の理由から北半球のデータが大部分を占める。
北半球の中緯度に位置するアメリカ、中国、ロシアなどの国では、地表の年間平均風速が4.6メートルから3.9メートルへ、15%以上低下していることがわかった。南半球の風速もおそらく同じ傾向だろうと、研究チームは推測する。
「もし上空の風速まで低下していたら、大気汚染物質、さらには植物の種の飛散に影響が及ぶ可能性がある」と、フランス気候・環境科学研究所の研究者で、今回の研究を率いたロベール・ボータール(Robert Vautard)氏は話す。
研究チームによると、この30年で植物の成長が最大だった地域で、風速が最も低下したという。つまり、木や低木が風の邪魔をしたのだ。
ただし、樹木の増加で説明できるのは全体の60%程度だという。残りは地球温暖化による大気循環の変化が原因かもしれないが、さらなる調査が必要だとボータール氏は話す。「今のところ断片的な情報しか揃っておらず、原因はまだ断定できない」。
また、この先数十年の見通しも不明だ。結局、主な原因がわからなければ何とも言えない。「もし耕作地の放棄が進んだユーラシア大陸で樹木が増加したことが主因だった場合、さらなる低下は考えにくい」とボータール氏は話す。ソビエト連邦の崩壊で大規模な放棄が起こったわけだが、もう終わった話だからだ。
その上で同氏は、「もし主な原因が気候変動であれば話は別だ」と言い添えた。
研究チームによると、もし上空の風速も下がっていた場合、風力発電に影響を与える可能性があるという。風力タービンのほとんどが地面から離れた高い位置にあるためだ。
それでも、業界団体アメリカ風力エネルギー協会で送電の方針策定を担当するマイケル・ゴギン氏に動揺は見られない。「現代の風力タービンが回る地上数十メートルでは、風速は低下していない。これが風力資源評価の専門家たちの一致した見解だ」と、ゴギン氏は電子メールでコメントした。
同氏はさらに、アメリカで最も風力エネルギーの開発が盛んなテキサス州西部やグレートプレーンズといった地域では、近い将来に植林が行われる可能性も低いと述べる。多少の低下が起きたとしても、「アメリカには十分すぎるほどの風力資源がある。国の電力需要の10倍を超えている。“風力のサウジアラビア”と呼ばれる所以だ」。
今回の研究成果は「Nature Geoscience」誌オンライン版で10月17日に発表された。
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