極度の貧困や飢餓の撲滅を目指す「ミレニアム開発目標(MDGs)」サミットが20日、ニューヨークの国連本部で始まった。その目標を達成するためには、“エネルギー貧困”状態の数十億人が、安定した電力と安全な調理器具を手にすることが不可欠だという。国際エネルギー機関(IEA)、国連開発計画(UNDP)、国際連合工業開発機関(UNIDO)が21日、報告した。

(エチオピアの家庭に普及している旧式の調理用ストーブ。不完全燃焼の煙が立ちこめ、呼吸器系疾患の原因とされている。今後も使用をやめなければ、1日あたり約4000人が早死にする状況が2030年まで続くとみられる。 )
エネルギー貧困問題は悪化の一途をたどっているが、気候変動問題を大幅に深刻化させることなく、多額の資金援助なしでも解決可能としている。
極度の貧困に苦しむ人々に近代的なエネルギーを供給するには、今後5年間にわたって毎年約410億ドル(約3.5兆円)の投資が必要になる。この額は全世界の国内総生産(GDP)のわずか0.06%にすぎない。
世界中で14億人が電気と無縁の生活を送っている。また、約30億人が薪や炭、糞を燃料とする非効率的な調理器具を使い、煙にむせながら料理せざるを得ない状況にある。これらの人々すべてが電気を利用できるようになっても、2030年までに増加する二酸化炭素排出量はわずか0.8%にとどまると試算された。基本的な生活に必要な燃料は少量で、クリーンエネルギーを普及させる絶好のチャンスにもなる。
報告書は、エネルギー貧困問題を放置していると、旧式の調理器具からの有毒ガスや屋内火災が原因で2030年までに命を落とす人の数は、1日に約4000人にも上ると警告している。マラリアや結核、HIV・エイズで死亡する推定人数を上回る数字だ。真っ先に取り組むべきはサハラ以南アフリカで、電力供給を受けている人はわずか31%のみ。80%の人々が在来型バイオマスエネルギーを調理に使用している。農産物廃棄物や薪、糞などの燃焼による有毒ガスにさらされて、深刻な呼吸器系疾患のほか肺ガンなど心肺の病気も多発している。
潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は、ミレニアム開発目標の達成にはクリーンエネルギーの普及が不可欠だとし、財政援助を各国に要請した。しかし実際に応じた国はわずかで、資金不足に直面している。
非営利プロジェクト「ソーラー・シティ(Solar CITIES)」のリーダーを務めるトーマス・“T.H”・カルヘイン氏は、資金問題の解決策の1つとして、小規模プロジェクトの立ち上げを奨励している。必要な物資を大量に購入してコストを徹底的に削減し、貧困にあえぐ村にエネルギーと調理器具を届けるというプロジェクトだ。同氏は、ナショナル ジオグラフィック協会の2009年のエマージング探検家でもある。
例えば、調理用の燃料や発電に利用できるバイオガス発生装置がある。台所のゴミや野菜くずなどからクリーンなメタンガスを1日足らずで生産する優れものだが、設置には約400ドルが必要となる。「1日2ドルで生活している村人にとっては大変な金額だ。だが共同購入への援助があれば、旧式な調理ストーブからの乗り換えのハードルが下がる。ゴミに関連した健康問題も同時に解決できる」とカルヘイン氏はコメントした。こうした取り組みに対し、資金援助も増えてきているという。
また、太陽光発電も世界的なエネルギー貧困問題の解決策となりうる。報告書によると、都市から離れた居住者にとっては、配電網を都市部の発電所から引いてくるよりも、現地の太陽光発電や風力発電を利用した方が低コストで済む可能性があるという。世界中で、電気が届かない約85%の人が地方の農村地域に集中している。
アメリカ国内で3人家族世帯が消費する年間電力量は、平均1万1040キロワット時にも上る。これに対し、エネルギー貧困者が基本的生活に必要とする電力量は、1人あたり年間100キロワット時にすぎないとIEAでは推測している。
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